健康保険法に基づく運営
わが国で健康保険といえば、社会保険形式で運営されている医療保険のうち健康保険法に基づく被用者保険のことである。地方自治体で運用されている国民健康保険と区別され、「国保」に対して「社保」と呼ばれている。なお、公務員などの共済組合加入者の被用者保険は健康保険法に則るのではなく、国家公務員共済組合法などに基づいて運営されている。
この社会保険制度は、「国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする」という基本理念の下で、働く者あるいはその被扶養者の疾病や負傷、死亡や出産において医療保険給付を行う。これには、業務上の疾病や負傷は含まれていない。業務上の場合は、労災保険の対象となるからだ。
社会保険制度の保険者は、全国健康保険協会および健康保険組合とされている。なお、日雇特例被保険者については全国健康保険協会のみが保険者となり、健康保険組合が保険者となることはない。ここでいう保険者とは、保険事業の経営母体として保険給付等の業務を行う者をさす。直近のデータによると、全国健康保険協会の加入者はおよそ3,600万人で、健康保険組合の加入者はおよそ3,000万人である。また、日雇特例被保険者は、2万人弱だ。
また、保険適応可能機関として、医療を行おうとする機関は厚生労働大臣に申請し、指定を受ける必要がある。保険薬局という看板を掲げようとする薬局も、同様に厚生労働大臣から指定を受ける必要がある。